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小児科専門:一般診療・乳児健診・予防接種 

 

ヒブ(Hib)とは

★ヒブ(Hib)はヘモフィルス属インフルエンザ桿菌b型(Haemophilis Influenzae Type b)細菌の略称です。
「インフルエンザ」とウイルスと同じ名前がつきますが、毎年流行するインフルエンザとは全く別のものです。昔ウイルスがまだ知られていなかった時代に、この細菌がインフルエンザの原因とする研究がありインフルエンザ桿菌と名付けられました。その後インフルエンザの原因はウイルスとわかりましたが、名前がそのまま残ったため混同を避けるために「インフルエンザ」は使わないようにして「ヒブ(Hib)」と呼ぶようになっています。
★インフルエンザ桿菌にはいくつかのタイプがあります。その中で「b型(Hib)」と呼ばれる菌が細菌性髄膜炎、喉頭蓋炎、肺炎、敗血症などの重症感染症を引き起こします。

ヒブ髄膜炎

★髄膜は大事な脳や背骨の中を通る脊髄をおおっている膜です。その中に細菌が入り込んで炎症を起こすのが細菌性髄膜炎です。脳をつつむ大事な場所の感染症のため、生命に関わることや治っても難聴やけいれんなどの後遺症を残すことが少なくありません。残念ながら、現在の医学では発熱早期での診断がとても難しいことがわかっています。早期の症状は発熱、不機嫌、嘔吐、けいれんなので他の風邪などの症状と似ています。治療は入院し抗生物質による治療になりますが、予後がよくありません。最近では抗生物質の効かない菌(耐性菌)が80%に変化してきているため治療がとても難しくなってきています。
★小児の細菌性髄膜炎の3分の2がヒブ(Hib)菌が原因でおきてきていす。日本では毎年600人ほどの子どもがヒブ(Hib)菌による髄膜炎にかかり、そのうち5%が死亡、約20%にてんかん、難聴、発達障害などの後遺症が残ります。ほとんどが5歳未満で0〜1歳では70%以上で(0歳後半に多く、9ヶ月がピーク)、5歳以上ではきわめてまれです。

ヒブ喉頭蓋炎

★喉頭蓋(こうとうがい)は物を飲み込むときにむせないように気道を閉じる「ふた」のようなものです。これがヒブの感染で急激にはれあがると、高熱に加えて息が吸えなくなり、よだれも止まらなくなります。そして数時間で窒息してしまうことがあります。まれですが、死亡率が高いためとれも怖い病気です。

ヒブ(Hib)ワクチンについて

★ヒブ(Hib)ワクチンは1990年代から欧米ではヒブワクチンが接種され始めました。これを期にヒブ菌による髄膜炎や喉頭蓋炎が激減して今ではほとんど見かけなくなりました。
★1998年にWHO(世界保健機関)は乳児への定期接種を推奨しています。欧米など100カ国以上ですでに定期接種が行われています。またアジアやアフリカの国々を含む130カ国以上の国で導入されています。これらの国々の接種では大きな副作用の報告はありません。        
★日本では2007年フランス製のヒブワクチン「アクトヒブ」の輸入が承認されました。

接種スケジュール

★ヒブ(Hib)ワクチンの接種スケジュールは、2ヶ月から5歳未満の子どもに接種します。
接種開始時の月例によって回数が異なります。
2ヶ月~7ヶ月未満  :3回(4週間毎)+追加(1年後)1回(DPTと同時接種をお勧めします)
7ヶ月~12ヶ月未満 :2回(4週間毎)+追加(1年後)1回
12ヶ月~5歳未満  :1回
5歳以上       : 接種の必要はありません

  • (4週毎)は、4〜8週間の間隔です。

☆接種後に他のワクチン接種でもみとめられるのと同様の副反応がみられますが、通常は一時的なもので数日で消失します。最も多くみられるのは接種部位の発赤や腫れです。また発熱が数%に起こります。
重い副反応として、非常にまれですが、海外で次のような副反応が報告されています。

  •  ショック・アナフィラキシー様症状(じんましん・呼吸困難など)
  • けいれん(熱性けいれん含む)
  • 血小板減少性紫斑病

☆このワクチンは、製造初期段階に、ウシの成分(フランス産ウシの肝臓および肺由来成分、ヨーロッパ産ウシの乳由来成分、米国産のウシの血液および心臓由来成分)が使用されています。
このワクチンはすでに世界100カ国以上で使用され発売開始から14年間接種されていますが、このワクチンの接種が原因でTSE(伝達性海綿状脳症)の報告は1例もありません。
☆接種を受けることができない人

  • 明らかに発熱している方(通常は37.5℃を超える場合)
  • 重い急性疾患にかかっている方
  • このワクチンの成分または破傷風トキソイドによってアナフィラキシー(通常接種後30分以内に出現する呼吸困難や全身性のじんましんを伴う重いアレルギー反応)をおこしたことがある方
  • その他、かかりつけの医師に予防接種を受けない方がよいと言われた方

 接種後は以下の点に注意してください

  • 接種後30分間は、ショックやアナフィラキシーがおこることがまれにあります。
  • 接種後、違う種類のワクチンを接種する場合には、6日間以上の間隔をあける必要があります。ただし、他のワクチンと同時接種を希望する場合にはご相談ください。
  • 入浴は差し支えありません。接種後はいつも通りの生活をしましょう。


★ヒブワクチンの接種費用
1回につき7,350円(消費税込み)となります。